日本消化器内視鏡学会雑誌
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電子スコープによる実験的胃・大腸粘膜病変観察の試み
塚田 英昭平松 通徳上田 俊二内野 治人酒井 正彦三宅 健夫
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1988 年 30 巻 8 号 p. 1777-1784_1

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抄録

 電子スコープと従来のファイバースコープとの内視鏡像を比較検討する目的で,ラットに実験的胃及び大腸病変を作成し,両スコープで同一病変を観察した後,病変部を摘出し,実体観察および組織学的検討を行った.電子スコープでは非病変部胃粘膜において胃小区が観察された.病変部胃粘膜においては,ラット水浸拘束直後の中心静脈怒張は,胃小区単位の粘膜発赤として観察された.ラット酢酸潰瘍の観察では潰瘍周囲粘膜の発赤像が明瞭に認められた.一方,非病変部大腸粘膜では,微細な血管像の他,腸管壁を通して腹腔内が透見された.また,メチレンブルー染色により小区が観察された.病変部大腸粘膜では血管の途絶像,口径不同像,粘膜内微小出血像など,従来のファイバースコープでは観察できなかった微小な病変が観察可能であった.以上より,電子スコープは従来のファイバースコープに比して,消化管粘膜病変の微細な形態的変化のほか,微妙な色調の変化を観察でき,動物実験にも有用と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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