日本消化器内視鏡学会雑誌
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若年者胆石症の検討
中塩 一昭渋江 正田中 啓三松元 淳山下 行博鮫島 由規則高崎 能久尾田 一郎陳 恵南松尾 真一郎浜畑 昌代橋本 修治山口 淳正
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1988 年 30 巻 8 号 p. 1787-1793_1

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抄録
 教室で昭和45年より17年間にERCPにて診断した胆石症は1,986例である.このうち20歳未満の若年者胆石症は10例(0.6%)にすぎなかった.その特徴として以下の所見がみられた.10例の男女比は1:4で女性に多く,全例が腹痛を呈していた.胆石の存在部位は胆嚢内5例(50%),胆管内2例(20%),胆嚢と胆管両者に存在するもの3例(30%)で,そのうち先天性総胆管嚢腫の合併が3例認められた. 若年者とくに小児科領域における日常診療では腹痛はしばしば遭遇する訴えでその診断に苦慮する場合も少なくない.なかでも若年者の胆石症は比較的稀な疾患とされており,稀であるがゆえに見逃される場合も多い.その臨床的特徴としては腹痛を主訴として発症することが多いが,総胆管結石や先天性総胆管嚢腫の合併が認められる場合があるので,その鑑別診断法として腹部超音波検査,ERCP(逆行性胆管膵管造影法)が不可欠であることを強調した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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