日本消化器内視鏡学会雑誌
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胆嚢結石症に対する経皮的胆道鏡下截石術の方法と成績―電気水圧結石破壊法の応用を含めて―
吉本 英夫池田 靖洋黒田 雄志真栄城 兼清田淵 正延田中 雅夫松本 伸二岡本 潔志村 秀彦
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1989 年 31 巻 10 号 p. 2605-2615

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抄録
 経皮的胆道鏡の手技を用い,16例の胆嚢結石症例に非観血的除去を試みた.結石が胆道鏡の挿入ルートより大きい場合は,電気水圧結石破壊法(EHL)による砕石を併用した.胆道鏡の挿入経路は,経皮経肝胆嚢瘻孔12例,経皮的胆道瘻孔2例,外科的外胆嚢瘻孔2例,であった. 16例中12例にEHLを試み,11例の結石破壊に成功した.4例はバスケット截石のみを行った.その結果,完全截石13例,不完全截石2例,截石不成功1例,の成績であった.不完全截石や截石不成功の理由は,胆道鏡の到達不能2例,截石期間中の胆嚢萎縮1例であった.胆道ドレナージ施行日から截石終了までの平均日数は52±29日であった.合併症として,胆道出血2例,截石後の悪寒・発熱2例を経験したが,重篤なものはなかった.截石後1年以上経過した12例中,2例は他病死したが,残り10例は無症状に経過していた.超音波による追跡を行った8例中7例は再発を認めず,1例にのみ胆砂の出現を見たが利胆剤の投与にて消失した. 胆嚢結石症に対する胆道鏡下截石術は,手技の煩雑さ,治療期間の長さ,結石再発の可能性,などの問題を有し,現時点では外科手術に代われるものではない.しかし,confluence stoneは本法の良い適応と思われた.また,合併症が少なく,外科治療の困難な一部のpoor-risk症例には適応できると考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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