日本消化器内視鏡学会雑誌
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消化性潰瘍の再発に関する臨床的及び内視鏡的研究
謝花 典子
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1989 年 31 巻 11 号 p. 2925-2941

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抄録

 消化性潰瘍長期経過観察例(胃潰瘍120例,十二指腸潰瘍61例)を対象に,その病期の推移,特に瘢痕像(S1,S2)と再発との関係,維持療法の効果に関して臨床的及び内視鏡的検討を行った.胃潰瘍では,初期治療によりS1に至る例が97%,S2には3%,十二指腸潰瘍では,それぞれ84%,16%であった.再発率は,S1の方がS2より高値を示した.S1からS2への移行率は,維持療法継続群は非継続群より高く,胃潰瘍59%,十二指腸潰瘍61%であった.従って,維持療法の継続はS1からS2への移行を高め,再発率を低下させることがわかった.S2からの再発は,維持療法継続群からは1例もなかった.S2において胃潰瘍のN型(線型)瘢痕,十二指腸潰瘍の陥凹型瘢痕では,維持療法を行わなかった群は全例再発した.十二指腸潰瘍の陥凹型のS2は,非陥凹型に比べ有意に再発率が高かった.また,嗜好品(飲酒,喫煙,コーヒー)に関しては再発率に大きな影響を及ぼさなかった.

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