日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃静脈瘤の内視鏡的検討
―胃静脈瘤破綻例の検討を中心に―
日野 真一隆 元英五十嵐 正彦
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1989 年 31 巻 11 号 p. 2958-2965

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抄録

 門脈圧亢進症195例中,上部消化管出血を合併した40例を対象として,胃静脈瘤破綻例を中心に内視鏡的検討を行った.出血例40例における出血源は,胃静脈瘤が8例20%(噴門部(Lc)静脈瘤4例,穹窿部(Lf)静脈瘤4例)で,食道静脈瘤9例,胃潰瘍9例に次いで多かった.胃静脈瘤破綻例8例において,破綻した胃静脈瘤の形態は,全例が食道静脈瘤内視鏡所見記載基準に言うF2以上であった.胃静脈瘤破綻部の経時的観察によれば,吐下血後1週以内では出血(出血中ないし凝血塊付着),白苔,発赤が認められ,白苔,発赤は4週以上にわたって認められることが多かった.Lc静脈瘤,Lf静脈瘤いずれの破綻例にもSBtubeによる一時的止血効果が得られた.Lc静脈瘤破綻例4例に対して待期的内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を施行し,著効を得た.胃静脈瘤内視鏡所見を食道静脈瘤内視鏡所見記載基準に準じて分類,記載することを試みた.

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