日本消化器内視鏡学会雑誌
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孤立性胃静脈瘤出血に対するα-cyanoacryla temonomerによる硬化療法の有用性について
小原 勝敏大平 弘正坂本 弘明岩崎 勝利三橋 彦也鈴木 秀正木 盛夫森藤 隆夫粕川 禮司
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1989 年 31 巻 12 号 p. 3209-3216_1

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抄録
 難治性の孤立性胃静脈瘤出血に対して,α-cyanoacrylate monomer(CA)による硬化療法(ST)を施行し,止血し得た3例を経験した.3例中1例は食道にも静脈瘤があったが胃静脈瘤(Lg)との交通はなく食道側からのEOの逆流による治療は不可能であった.3例中2例は以前にSTを施行し食道静脈瘤は完全消失していた.共にLgが残存した状態で観察されていたが,6カ月後と52カ月後にそれぞれ大量のLg出血を来した.2例とも,Lgの直接穿刺によるEO注入を何度か試みたが効果がなかった.術前のイオパミドールによる静脈瘤造影では,3例とも造影濃度が薄いことから,血管が太いだけでなく,血流が速いことが考えられた.CAによるSTで,3例とも瞬時に止血できた.CAは異物として残存するためその適応を慎重に選ぶべきである.すなわち,孤立性Lgからの急性出血で,手術不能または拒否例であり,かつEO無効例が適応と考えられる.
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