日本消化器内視鏡学会雑誌
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多彩な肝血管異常を有し脳症を呈したRendu-Osler-Weber病の1例
鈴木 徳也古部 勝杉本 元信
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1989 年 31 巻 12 号 p. 3290-3297

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抄録

 症例は65歳女性.昭和54年頃より意識障害,高アンモニア血症にて入退院を繰り返していた.昭和62年6月精査のため入院.右上胸部に著明な毛細血管と皮下血管拡張を認め,bruitを聴取.肝脾触知せず.血液生化学検査では汎血球減少,低蛋白血症,ICG停滞あり,腹部US,CTにて軽度の肝萎縮と脾腫を認めた.腹腔動脈撮影にて肝動脈枝と肝静脈枝とのA-Vシャントおよび静脈瘤形成,上腸間膜動脈撮影にて肝外におけるA-Pシャント,門脈右枝と肝静脈枝とのP-Vシャントが示唆された.上部消化管内視鏡では食道静脈瘤はなく,胃角後壁に点状毛細血管拡張像を認めた.腹腔鏡検査では肝はやや不整で,萎縮した右葉表面に特異な血管拡張像を認めた.左葉からの生検組織像では線維化の所見はみられなかった.本例では遺伝歴は明らかにできなかったが,Rendu-Osler-Weber病の多彩な肝血管異常により脳症が発現したと思われ,きわめてまれな例と考え報告した.

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