抄録
紫斑と肝脾腫を端緒とし,無黄疸期にPSCと診断された13歳男児例を報告した.ERC像は肝内胆管に主病変を示しLi Yengらの肝内型PSC,type IIに分類された.PSCの診断に腹腔鏡検査が有用で,左葉肝表面に肝辺縁より横隔膜面にむけてたてにはしる2条の深い溝状陥凹が観察された.肝は大結節性肝硬変の所見で,多数のリンパ小水胞が主に肝凹部に散在した.肝右葉は腫大し再生傾向が伺われた.10カ月後に第2回腹腔鏡検査が行われ,胆嚢内側の肝右葉裏面に半球状再生塊形成が観察された.これらの所見は成人PSCに特徴的と報告される肝表面像に一致する.肝は硬く,生検肝組織はperiductal fibrosisの所見を得てPSC,compatibleと診断された.13歳,無黄疸の時点で肝はすでに輪状肝硬変像を呈した. 小児PSCの肝表面像を検討し,深い溝状陥凹と再生塊形成が特徴的所見と考えられた.