抄録
胆管癌6例を含む総胆管病変20症例に超音波内視鏡検査(EUS)を施行し,総胆管病変に対するEUSの診断能を検討した. 胆管癌6症例において,外科的切除が可能であった4例中3例に腫瘍像が明瞭に描出された.しかし,scirrhous typeに壁内浸潤した1例においては,癌の術前診断そのものが困難であった.癌の壁外浸潤の有無の診断においては,腫瘍像が描出された3例中2例に正診を得た. 総胆管結石症では,全例(6例)において,音響陰影を伴った結石像が描出された.胆管炎や胆管狭窄例においても,胆管壁内および壁外の病態が明瞭に描出され,胆管癌との鑑別診断における本法の有用性が期待される.