抄録
検診目的の全大腸内視鏡(screening total colonoscopy)の前処置法としての特殊組成電解質液経口洗腸法について,飲用量と洗浄効果及び被検者の受容性の関係を人間ドック大腸内視鏡検診受診者266名を飲用量1を,2l,3lの各群に分けて検討した.結果は,飲用量2l以上で,従来法(Brown変法+浣腸)よりも優れた洗浄効果を示した.従来法では前処置不良のことが多かった便秘例についても,便秘のない群と比較すれば若干効果が劣ったが,それでも飲用量22で十分観察可能であった.受診者の受容性を調べる目的で行ったアンケート調査では,大多数が従来法より経口法を好んだが3を飲用群では全量摂取不能例が8%存在し,より少ない飲用量が適当と考えられた.以上より,screening total colonoscopyの前処置法としては,特殊組成電解質液2lによる経口洗腸法が現時点では最も妥当と考えられた.