抄録
患者は48歳の女性で,15年来,不眠,動悸の訴えがあり神経症との診断のもとに精神科にて通院加療を受けていたが,最近になって症状が増悪したため,自殺目的で苛性ソーダを服用した.上部消化管造影,内視鏡にて胃角部大彎前壁側に4×10cmの巨大潰瘍を認め,プロスタグランディンE1誘導体(ミソプロストール)にて4カ月で治癒せしめた.また,食道狭窄も出現したため食道ブジーによる拡張術を施行し,症状の改善をみた.アルカリ性腐蝕剤服用による腐蝕性胃潰瘍の発症率は低く,また,保存的療法で経過観察しえた症例はきわめて少ないため報告した.