日本消化器内視鏡学会雑誌
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小児の消化性潰瘍に対する内視鏡的検討
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1989 年 31 巻 5 号 p. 1221-1228_1

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抄録
 1980年から1987年までの8年間に89例の小児に内視鏡検査を施行し,小児消化性潰瘍24例を診断した.小児消化性潰瘍患児24例の内訳は,胃潰瘍4例,十二指腸潰瘍19例,および胃,十二指腸併存潰瘍1例であった. 主訴は,吐・下血が54%と一番多く,次に腹痛が25%の順に認められたが,腹痛は6歳以下の小児では稀であった.小児潰瘍の誘因としては,10歳未満6例中2例が薬剤,2例が感染症,1例が先天性疾患と考えられ,10歳以上の18例でストレスが関与していると考えられたのが9例であった. 小児において精神的なストレスが関与している場合は,そのストレスから解放する必要があると考えられた. 治療は,22例がH2プロッカーおよび制酸剤を投与し,内科的に治療した.2例は十二指腸潰瘍による狭窄のため手術が施行された. 小児内視鏡検査は,消化性潰瘍の早期診断にも積極的に活用すべきと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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