ラジアル走査式超音波内視鏡を用い,食道癌67例に対して癌の深達度診断を行った.そのうち食道切除が行われ病理組織所見との対比が可能であった34例36病変の深達度正診率は58%(21/36)であった.これを施行時期別にみると,前期22%(2/9),後期70%(19/27)であり,後期になって正診率は向上した. a0症例の正診率は42%(10/24)と低く,誤診例の検討から,その原因として深達度mm症例では癌巣が薄いために病変の認識が困難であったこと,深達度smやmp症例では粘膜下層や固有筋層に癌がmassiveに存在し,より深層を圧迫しているために深達度を深く判定したことがあげられた.一方,a1以深例の正診率は92%(11/12)と高く,超音波内視鏡はa0症例に比べ深達度診断に有用と考えられた.また,著者が考案した逆流防止バルーンを用いた脱気水充満法は高齢者にも安全に施行できると共に,病変をより肉眼形態に近い像として描出できるためa0症例において有用と考えられた.