日本消化器内視鏡学会雑誌
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Mallory-Weiss症候群の臨床的検討
―重症例を中心に―
渥美 正英伊勢谷 和史胡井 智小笠原 宏行小原 尚之高祖 均高顕 純平赤木 博岡野 均布施 好信児玉 正
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1989 年 31 巻 7 号 p. 1760-1769

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抄録
90例のMallory-Weiss症候群について臨床的検討を行った.誘因としてはアルコールが40.0%,内視鏡検査施行中が13.3%であった.裂創は食道一胃接合部直下の噴門部胃粘膜の小彎側に多く,裂創の数では1条が72.2%を占め,最高4条であった.治癒までの期間は線状形裂創で平均9.1日,紡錘形裂創で平均18.7日であり,大部分が3週間以内に治癒した.また輸血ないしは内視鏡的止血術を必要とした症例を重症例とし,この定義にあてはまる6例について検討したところ,食道一胃接合部から噴門部の小彎側を中心に紡錘形裂創が多発している例が多く,露出血管を有する4例に内視鏡的止血術を施行した.このうち3例に永続止血が得られたが,初診時には止血状態の線状裂創でも経過中に大量の再出血をきたし,純エタノール局注にても止血しえず手術に至った症例もあり,急性期には注意深い経過観察が必要と思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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