抄録
回盲弁の上,下唇に発生した1ipomatosisに内視鏡的ポリベクトミーを施行した1例を経験した.症例は71歳の女性で常習性便秘の精査のために大腸内視鏡検査を施行した.回盲弁上唇に黄色調の小隆起がみられたが,1年6カ月後には回盲弁上,下唇に各1個の亜有茎性の隆起性病変に発育した.ポリペクトミーの結果,組織学的には,被膜を有しない結膜下層の脂肪組織の増生で,lipomatosisと診断された.術後1年半の現在,回盲弁に肉眼的異常は認められていない.回盲弁lipomatosisは稀な疾患のうえ本例ではごく短期間に発育しており,また,内視鏡的ポリペクトミーで再発徴候のない興味ある症例と考え報告した.