日本消化器内視鏡学会雑誌
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発見後27年目に大腸癌の発生をみたPeutz-Jeghers症候群の1例
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1989 年 31 巻 9 号 p. 2530-2535_1

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抄録
症例は52歳の男性,27年前,当院にて本症と診断.外来通院を続けていたが,昭和62年1月下旬より,腹痛・便秘・腹満感が出現.大腸内視鏡検査にて,S状結腸に腫瘍による狭窄がみられ,その腫瘍に接した肛門側のポリポージス状を呈した部位の生検にて高分化型腺癌が認められたため,拡大結腸左半切除兼直腸切除・横行結腸瘻造設術を行った.切除標本にて,S状結腸に長径約4cmの癌による全周性の狭窄を確認,StageはIIIであった.本邦における本症の報告例は,360例以上にのぼるが,そのうちで大腸癌合併例は,これまでに28例が報告されている.自験例は,診断確定後27年目といった,これまでの報告に例のない長期間のfollow-up後に大腸癌の合併が判明した症例で,内視鏡的ポリペクトミーを含めた,生涯的なfollow-up,の重要性が再認識されるとともに,大腸亜全摘などの予防的手術が場合によっては必要であることが示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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