日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡下生検組織の抗酸菌培養により診断した胃結核症の1例
坂田 泰志山岡 宏太郎木須 達郎内田 康文森 久男坂田 祐之赤坂 精隆藤崎 純士平野 正弘田中 潤一徳永 蔵
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1990 年 32 巻 12 号 p. 2883-2887_1

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抄録
 胃結核はまれな疾患であり,本邦において内視鏡下生検で診断した報告は16例に過ぎない.著者らは内視鏡下生検組織の培養で結核菌を証明し,潰瘍型の孤立性胃結核と診断した症例を経験した. 患者は脊椎管狭窄症で当院整形外科に入院していた74歳の男性で,嘔気,嘔吐,心窩部痛が生じたため内視鏡検査を施行した.胃体下部から胃角部前後壁に不整形の潰瘍が多発しており,内視鏡下生検組織像では類上皮肉芽腫,乾酪壊死および結核菌は証明できなかったが,採取した生検組織の培養により結核菌を同定し胃結核と診断した.抗結核剤投与により,内視鏡的に6週間後,潰瘍の改善を認めた. 胃結核で内視鏡検査にて直接結核菌を証明した報告は,今までに本邦で1例のみであり,また,検索しえた範囲では内視鏡下生検組織の培養を行い,胃結核と診断しえた報告は認めず,若干の文献的考察を加え報告する.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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