日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道・胃接合部早期胃癌の内視鏡診断能の検討―肉眼所見と内視鏡所見の対比を中心に―
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1991 年 33 巻 1 号 p. 23-33

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抄録

 癌の中心が食道胃接合線から1cm以内の胃側にある早期胃癌(腺癌)を食道胃接合部早期胃癌,同じく2cm以内にあるものを噴門部早期胃癌と定義し,食道胃接合部早期胃癌(接合部早期胃癌)の臨床病理学的特徴,切除胃肉眼所見および内視鏡所見について,接合部を除く噴門部早期胃癌(非接合部早期胃癌)と比較検討し,以下の結論を得た. 1)接合部早期胃癌は12例12病巣で全早期胃癌の1.6%であった. 2)臨床病理学的には接合部早期胃癌は,潰瘍あるいは潰瘍瘢痕を伴わない小彎の分化型IIcが多かった. 3)肉眼所見上,陥凹型接合部m癌は境界は比較的鮮明であるが陥凹は浅く,表面微細顆粒状,粘膜ひだ集中および周囲隆起は伴わないなど,特徴に乏しかった.sm癌になると,境界鮮明,凹凸不整を示す浅い陥凹として比較的容易に拾い上げられた. 4)内視鏡所見上,陥凹型接合部m癌は肉眼所見同様診断は困難であったが,刷毛ではいたような淡い白苔を有する易出血性,境界鮮明である均一発赤が,病変拾い上げの手がかりになるものと考えられた.sm癌は,表面性状は凹凸不整を示すものが増加し,診断は比較的容易であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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