日本消化器内視鏡学会雑誌
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特殊な食道炎を合併したpotassium chlorideによると考えられる良性食道狭窄の1例
黒沢 正喜石幡 良一鈴木 恭二飯塚 美伸
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1992 年 34 巻 1 号 p. 102-108_1

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抄録
Potassium chlorideによると考えられる良性食道狭窄の1例を経験した.症例は79歳の女性.低ガンマグロブリン血症を伴った赤芽球癆にて入院.副腎皮質ホルモン剤の投与により赤血球数は回復したが,入院後薬剤性と思われる白血球減少症をきたし,極期には700/mm3,顆粒球1%となった.心窩部痛がみられたため上部消化管内視鏡を施行.胃潰瘍とカンジダによる食道の白苔を認めた.副腎皮質ホルモン剤による低カリウム血症の予防のためpotassium chlorideを投与した.2カ月後嚥下困難があり,2回目の内視鏡検査にて中部食道に限局性,かつ,全周性の狭窄とびらんがみられた.びらんからの生検にて核内封入体が得られ,尿中よりサイトメガロウイルス(CMV)が証明された.食道狭窄の原因としてカンジダ, potassium chloride,および,CMVが疑われたが,狭窄の部位と形が従来のpotassium chlorideによる狭窄の報告例と似ており,これを原因と考えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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