日本消化器内視鏡学会雑誌
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全大腸のアフタ様潰瘍のみで長期間経過した腸型Behget病(疑診)の1例
高見 史朗奥田 宗久傍島 淳子石井 靖隆西田 博太田 正治林 邦雄中川 義弘島本 和彦
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1992 年 34 巻 1 号 p. 137-143_1

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抄録
症例は34歳,男性.1983年頃より,口腔内アフタの出没を繰り返していた.1985年初旬より,下痢,発熱,咽頭痛が出現し,一某院で全大腸のアフタ様潰瘍を指摘された.1985年3月当院を受診し同様の所見を得た.アフタ様潰瘍からの生検組織像は非特異性炎症の像であった.Crohn病を疑い,中心静脈栄養,Salazosulfapyr-idine,Elental療法等で治療したが,アフタ様潰瘍は消失しなかった.1988年2月頃より,アフタ様潰瘍の増大と咽頭潰瘍の出現を認めたため,Predonisoloneの投与を開始したところ,アフタ様潰瘍は消失したが,減量中再燃をみたため,更にCyclophosphamideを併用した.1989年4月の大腸X線検査ではアフタ様潰瘍は消失していたが,回盲部に不整形潰瘍を指摘された.同様の治療の継続により,1990年7月の大腸X線検査では,回盲部の潰瘍は消失しており,アフタ様潰瘍の再発も認めなかった.本症例はHLAvB51陽性であり口腔内アフタ,回盲部潰瘍等より腸型Behget病の可能性が考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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