抄録
C型慢性肝炎の形態学的特徴を明らかにする目的で,島根医科大学第2内科において診断された非A非B型慢性肝炎134例,及びB型慢性肝炎115例を対象とし,HCV抗体を測定し,B型(95例),C型(110例),B+C型(20例)及び非B非C型(24例)の4型に分類し,背景因子,腹腔鏡所見及び肝生検組織像について検討した.C型及び非B非C型の平均年齢は,B型及びB+C型よりも高齢であった.C型ではB型に比べ肝表面に規則正しく分布する赤色紋理(RM)の出現頻度は低く,局在性で,大型の不規則な分布をするRM(irreg.RM)が多かった.更に,irreg.RMは,左右両葉の脈管系の境界とされるCantlie線に沿って局在するものが多く,血流の乏しい部位に分布するものと考えられた.また,肝組織像では,CAH-2Bの約40~50%の症例にRMが出現することが明らかにされた.以上より,irreg.RMが,C型慢性肝炎の腹腔鏡所見の特徴のひとつであることが証明された.