日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃癌における血清ペプシノーゲンI,ガストリン値及び胃酸分泌能の検討
渡辺 千之春間 賢隅井 浩治森川 章彦岡本 志朗豊島 仁吉原 正治梶山 梧朗上村 直実忌部 明木村 学
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1992 年 34 巻 1 号 p. 31-38

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抄録
 胃癌患者116名(早期胃癌78名,進行胃癌38名),及び内視鏡的健常者128名を対象として血清ペプシノーゲンI(PGI),ガストリン値及び胃酸分泌能について検討を行った.胃癌患者の血清PGI値と最高酸分泌能(MAO)は健常者と比較して有意に低値であり,また血清PGI値は胃癌の進行により低下を示した.胃癌の形態と組織型から検討すると,隆起型,非潰瘍型の陥凹型早期胃癌,分化型胃癌では他群と比較し血清PGI値,MAOは有意に低値を示した. 血清ガストリン値は,進行胃癌で高値を示した他は有意な傾向は示さなかった. 血清PGI値とMAOの低下は胃底腺粘膜の萎縮を反映している.よって,形態学的には隆起型と非潰瘍型の陥凹型早期胃癌,組織学的には分化型胃癌が萎縮した胃粘膜を背景に発生していると考えられる.また,測定の簡便な血清PGIの測定は,これら萎縮を基盤に発生する胃癌のhigh risk groupをスクリーニングする有用なマーカーとなりうると考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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