日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡にて深さ診断を行いえた胃潰瘍の内視鏡的検討―特に深さ別の内視鏡像と経過について―
大井田 正人菊池 新今泉 弘近藤 一英横山 靖真玉 寿美生西元寺 克禮木田 光広
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1992 年 34 巻 4 号 p. 800-810_1

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抄録

 超音波内視鏡にて深さ診断を行いえた胃角ならびに胃体部の潰瘍について検討した. 胃角部の潰瘍は大多数がUl-IVであったが,胃体部では約半数を占めていた.治癒期間でみると,Ul-IVならびに胃体部のUl-IIIは難治であったが,Ul-IIは易治であった.通常内視鏡による特徴をみると,Ul-IVは難治性,Ul-IIは易治性の特徴をすべて備えていた.Ul-IIIは両者の所見を混在し認められた. 再発をみると,Ul-IVの潰瘍は12カ月で約半数にみられたが,Ul-IIは1例も再発しなかった.Ul-IIIは低率ではあるが再発がみられた.また,瘢痕像の経時的変化をみると,深さの浅い潰瘍ほど早期に所見は消失した.Ul-IVの経過観察例で再発予測を行うと,白色瘢痕になると再発は低率となった. 以上の検討より寛解期ならびに維持療法の導入,中止時期など深さを加味した治療方針についても述べた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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