日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸メラノーシスの臨床的および電子顕微鏡的検討
小林 研介上野 真弓水野 嘉夫浜田 慶城緒方 晴彦岩男 泰亀谷 麒与隆日比 紀文土屋 雅春
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1992 年 34 巻 6 号 p. 1274-1282_1

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抄録
 十二指腸メラノーシス4例において,拡大内視鏡施行例,剖検例,若年者例を経験し,臨床像,内視鏡所見,組織化学所見,電顕所見,電子X線プローブ分析につき,過去の報告例とあわせて検討した. 3例は,高齢者で,その内2例は,慢性腎不全を伴っていた.他の1例は,23歳で生来難聴で,習慣性嘔吐があり,便秘薬を多量に服用していた.内視鏡所見は,黒色またはやや褐色調の症例があり,球部に色素沈着は濃く,下行脚の肛門側に行くに従い薄くなっていた.拡大内視鏡では,絨毛の辺縁より内部に,絨毛の基部より先端部に,強く色素沈着を認めた.色素は,粘膜固有層の主にマクロファージ内に存在し,電顕では,electrondenseな物質で,各々の症例で,大きさや形態が異なった.電子X線プローブ分析では,鉄またはイオウのみを含む症例と,両者を含む症例があり,同じ内視鏡所見を示しても沈着物の由来が,異なる事がわかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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