日本消化器内視鏡学会雑誌
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閉塞性左側大腸癌に対する内視鏡的減圧術の経験
斉藤 康晴中川 雅夫馬場 修住吉 健一北沢 貢坂本 力吉川 邦生小山 茂樹藤山 佳秀馬場 忠雄細田 四郎
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1993 年 35 巻 8 号 p. 1900-1909

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抄録
 大腸癌による腸閉塞症例は緊急手術の適応となることが多い.その手術には腸閉塞状態の解除ならびに癌腫の根治という治療上重要な2つの点がある.緊急手術となる症例では術前の検査や処置が不十分なことが多い.そのため腸閉塞に起因する脱水,電解質のアンバランス,低栄養また狭窄部の口側腸管の拡張および多量の腸内容による術中腹腔内感染など数多くの問題点が存在する.従って,その手術術式は多岐にわたり手術法の選択(一期的切除か,二期的切除の問題,切除範囲の問題)についてはいまだ議論のあるところである.今回,左側大腸癌による腸閉塞症例9例に対して,内視鏡を用い経肛門的に減圧チューブを挿入した.全例に腸閉塞状態の改善があり,十分な全身管理と術前検査が施行でき,一期的かつ待期的に手術を施行し得た.経肛門的減圧チューブの内視鏡的手技は容易で,また特殊な器具は全く必要とせず非常に有用と考えられたので報告する.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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