日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃アニサキス内視鏡下摘出におけるガストログラフィン散布の有用性
串上 元彦東 冬彦炭谷 昌克国正 紀彦玉置 幸子玉置 英人玉置 政子玉置 英夫河合 純伊藤 秀一西岡 新吾
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1994 年 36 巻 1 号 p. 144-149

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抄録

従来,胃アニサキス症の治療に関しては内視鏡による虫体の摘出が確実と言われている.最近われわれは腫大した胃皺襞の間に刺入して観察も摘出も困難であった胃アニサキス症の1例に対してガストログラフィンを散布したところ,アニサキス幼虫の運動が停止し,鉗子で幼虫の体部を容易に摘み,抵抗なく摘出しえた.他の2症例に対してもガストログラフィンを散布したがほぼ同様に摘出が容易であった.胃アニサキス症において内視鏡検査後に発生するAGMLの誘因として大量の送気による胃粘膜の過伸展も推定されており,このことからも巨大皺襞間隙に刺入した胃アニサキス症や複数匹の穿入例,また部位的にアニサキス幼虫の頭部を摘まみ難い例などにはガストログラフィン散布は非常に有用であると思われる.胃アニサキス症の虫体摘出にガストログラフィンを初めて試み,良好な結果が得られたのでここに報告する.

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