日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤結紮術
-その手技と成績-
吉川 和彦曽和 融生川添 義行大平 雅一浅井 毅西口 幸雄永井 裕司石川 哲郎西野 裕二山下 隆史
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1994 年 36 巻 1 号 p. 137-143_1

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抄録

食道静脈瘤症例に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を1992年6月より現在まで12例に施行し,良好な成績をえたので本法の実際の手技と成績について報告した. EVLにはStiegmann-Goff ligator kit.(米国Bard社製)を用いた.対象12症例の性別は男性8例,女性4例,平均年齢は55.2歳であった.施行直前の肝機能はchild A 2例,B4例,C6例で,治療時期別では緊急1例,予防6例,待期5例であった.施行前の食道静脈瘤の所見はF因子では全例F2以上で,RC signはすべて陽性であった.EVL単独による食道静脈瘤の治療効果は12例中7例(58%)に食道静脈瘤の完全消失が得られた.残存した5例のF因子はF1,F0であったが,RC signは陰性化し, RC signの消失率は100%であった.予後では全例生存中で,静脈瘤からの出血もみられていない. 本治療法は手技が容易で,静脈瘤の消退効果が短期間で達成され,また,合併症が少なく安全な治療法であると考えられた.

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