抄録
内視鏡的に止血の困難な出血性胃・十二指腸潰瘍に対して止血のために施行した経カテーテル的動脈塞栓術(以下TAE)において,塞栓物質としてヒストアクリルの使用を試み,その有用性につき検討した.いずれも内視鏡施行不能もしくは内視鏡的止血不能な出血性胃・十二指腸潰瘍4患者に対し5回の血管造影を行い,3回はコイルを併用して,2回はヒストアクリル単独で動脈を塞栓することにより止血を試みた.結果は,出血血管が同定されず,半日後に再出血した1例を除いて完全止血が達成された.シアノアクリレート系の瞬間接着剤であるヒストアクリルは,現在までに組織の接着や,静脈瘤の硬化療法における注入薬などとして利用されてきたが,同剤の血管内注入は,短時間での血管の長い距離にわたっての完全閉塞を可能とするため,塞栓部位によりその使用に多少の工夫を要するものの,今後かかる症例に対するTAEにおける塞栓物質として有用であると考えられた.