日本消化器内視鏡学会雑誌
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細径超音波プローブによる十二指腸潰瘍の検討―ゼリー注入法の応用―
山田 至人坂口 哲章木田 光広野登 誠石井 圭太田辺 聡小泉 和三郎横山 靖三橋 利温大井田 正人西元寺 克禮
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1994 年 36 巻 3 号 p. 499-508_1

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抄録

 細径超音波プローブによる十二指腸潰瘍の観察のために,ゼリー注入法を考案し,67例100病変を対象にその有用性を検討した.その結果,前壁潰瘍の描出率は,52/65病変80%と比較的良好な描出率であったのに比べ,後壁潰瘍の描出率は11/35病変31%と不良であった.また,単発潰瘍の描出率は,29/34病変85%と良好であったが,多発潰瘍では34/66病変52%と不良であり,全体としては100病変中63病変63%が描出可能であった.UH-IV潰瘍の腸管外側潰瘍エコーは,治癒期の7病変70%,瘢痕期の32病変89%には認められなかった.潰瘍の深さ別頻度は,U1-II病変2%,U1-III19病変30%,U1-IV43病変68%であった.S1stageの内視鏡所見のうち,ひだの本数,中心陥凹,辺縁隆起,変形の程度,いずれの所見も,潰瘍の深さをよく反映していた.潰瘍の深さ別累積治癒率は,いずれの時期においてもU1-IIIの治癒率はU1-IVに比較し良好で,全体として両者間に有意差を認めた.また,12週間のH2受容体拮抗剤投与にても治癒しない潰瘍は,すべてU1-IVであった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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