1994 年 36 巻 5 号 p. 1015-1025
胆道内瘻術は主に根治手術不能な悪性胆道閉塞に対する減黄維持療法として,患者の延命やquality of lifeの向上に大きく貢献してきた.しかし,従来から使用されているチューブ型ステントは,その材質の改良や大口径化にもかかわらず,閉塞や逸脱などの合併症はいまだ解消されていない.従来,われわれはチューブ型ステントの欠点を軽減する目的で,Gianturco Z stentやStrecker stentなどのexpandable metallic stent(EMS)を用いたbiliary endoprosthesis(EMBE)を施行してきた.今回われわれは,欧米ではすでに市販されているが,本邦では1993年5月より使用可能となったSelf-expandable型のmetallic stentであるWallstentRを用いて,6例の悪性胆道狭窄に対して胆管内プロテーゼを施行したので,その使用経験について報告する.