日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道表在癌の内視鏡および臨床病理学的検討
冨松 久信馬場 保昌加来 幸生竹腰 隆男丸山 雅一藤井 彰尾形 悦郎植田 守松原 敏樹西 満正加藤 洋柳澤 昭夫
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1994 年 36 巻 5 号 p. 915-924_1

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抄録

 術前未治療の食道表在癌94例を対象とした.表在癌の内訳は粘膜癌22例(ep癌5例,mm癌17例),sm癌72例で,表在癌に占める粘膜癌の頻度は21.4%と低率であった.多発表在癌の頻度は18.1%,他臓器癌の合併頻度は23.4%で,胃癌との合併が高率であった.粘膜癌の90.9%は無症状で,72.7%は内視鏡検査で発見された.ep癌,mm1癌の肉眼型はすべて基本型を呈し,mm2~3癌の36.3%は0-IIc型との混合型であった.sm癌は0-II型が少なく,sm2~3癌は0-I型との混合型が多かった.リンパ節転移はep~mm3癌にはなく,sm癌では38.9%であった. 通常内視鏡による平坦,陥凹型粘膜癌の発見の目安は,小白苔の付着と淡赤色の色調変化で,病変の境界と表面の性状を加味してもmm3癌とsm1癌の深達度診断は困難であった.深達度診断の正診率は内視鏡検査69.7%,EUS検査67.9%であった.

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