1995 年 37 巻 10 号 p. 2216-2221_1
症例は67歳男性.内視鏡検査にて胃に隆起性病変を指摘され入院となった.胃X線および内視鏡検査では,胃体上部大弯に亜有茎性の柔らかい粘膜下腫瘍を認め,超音波内視鏡検査では第3層に主座をおく多房性無エコー域として描出された.単発性胃粘膜下異所腺の診断のもとに高周波ポリペクトミーを施行し,摘出標本の大きさは10×9×5mmであった.病理学的検索では粘膜下層に嚢胞状に拡張した胃底腺,幽門腺およびfoveolar epithelium類似の異所性腺管が認められたことから,胃粘膜下異所腺と診断した.超音波内視鏡所見は病理組織像をよく反映しており本症の診断に有用であった.