抄録
1993年12月から1994年6月までに4例の手術不能悪性胆道狭窄症例(膵頭部癌2例,肝細胞癌1例,中部胆管癌1例)に対して経乳頭的にexpandable metallic stent(EMS)の一種であるWallstentを留置した.右肝内胆管前区域枝にステントを留置した肝細胞癌症例において超急性閉塞と思われる一過性の黄疸の増悪が認められたが,そのほかの症例においては順調な減黄が得られた.2例はそれぞれWallstent留置後123日目,54日目に死亡したが,残る2例は現在無黄疸で経過観察中である.Wallstentは他のEMSに比して手技的に容易に経乳頭的留置が可能であり,その開存率においても他のEMSと比べて遜色がないことから,今後悪性胆道狭窄の有用な治療の一つとして注目されるべきものと思われた.