日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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電子拡大内視鏡による幽門輪直下の十二指腸潰瘍瘢痕の検討
瓜田 純久西野 執小山 博栗田 俊夫宮藤 康則笹島 雅彦神田 映子北條 裕有木 寿史米谷 隆三浦 富宏近藤 栄作松崎 浩司蜂矢 朗彦成木 行彦大塚 幸雄
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1995 年 37 巻 5 号 p. 954-962_1

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抄録
電子拡大内視鏡オリンパスGIF-200Zの先端に透明フードを装着して160例にスクリーニング検査を行い,幽門輪直下の十二指腸潰瘍の発見率,局在,背景十二指腸粘膜について検討した.潰瘍瘢痕は160例中52例(56病変)にみられ,前下壁が29病変(51.8%)と最も多く,後壁14病変(25.0%),上壁13病変(232%)であった.透明フードで幽門輪を押さえずに観察可能な病変は56病変中27病変であり,前下壁が85.2%を占めた.背景十二指腸粘膜の拡大内視鏡所見は分離型22例(42.3%),接合型29例(55.8%),萎縮型1例(1.9%)1であり,ほぼ正常パターンと考えられる分離型と接合型が98.1%を占めた.幽門輪直下の潰瘍瘢痕の有無により幽門輪の通過性に変化はなかった.また,幽門輪直下の観察には透明フードが有用であった.幽門輪直下の潰瘍の発見率の変化は,その疫学的数値に及ぼす影響だけではなく,十二指腸潰瘍の病態生理や臨床的対応にも少なからず影響を及ぼすものと思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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