日本消化器内視鏡学会雑誌
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がん登録を利用した胃癌に対する上部消化管内視鏡検査の精度の検討
細川 治岡本 理花海崎 泰治白崎 信二渡辺 国重津田 昇志
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1995 年 37 巻 7 号 p. 1394-1400

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抄録
1984年から1989年までの上部消化管内視鏡検査被験者19,722例をがん登録と照合し,内視鏡検査偽陰性胃癌188例を抽出した。真陽性例602例を含めて偽陰性率を算出すると,1年以内では5.5%,2年以内11.5%,3年以内15.6%であった。偽陰性率と性別,年齢,内視鏡の型,癌の部位,癌の組織型との関連は認められなかった.しかし,偽陰性例中の進行癌の割合は癌の部位別では,胃角部,幽門前庭部より噴門部,体部で有意に高かった.またこの割合は組織型別では,分化型癌より未分化型で有意に高かった。偽陰性例の内視鏡フィルムの癌巣部の再検討を行ったところ,性別では男性より女性で観察不十分なものが少なく,病変が認められないものが有意に多かった.また癌の部位別では観察不十分なものの割合は体部,前庭部より噴門部,残胃,角部で高く,フィルム上病変が指摘できるが癌と診断されなかったものの割合は角部,前庭部より体部で高かった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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