1996 年 38 巻 10 号 p. 2436-2442_1
症例は40歳,男性.上腹部痛,嘔気を主訴に来院.小腸X線および内視鏡検査にて,Treitz靱帯より約50cmの空腸に隆起性病変を認めた.表面は微細顆粒状で,大腸におけるvillous tumorに類似していたが生検で空腸癌と診断した.腫瘤は3.0×2.1cm大で管腔の2/3周を占める深達度seの乳頭状腺癌であった.小腸癌は,肉眼的に輪状狭窄型が多く,隆起型は稀である.本症例はびらんおよび潰瘍を伴わない隆起型空腸癌で稀な症例と考えられた.