日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的内痔核結紮術の検討
冨木 裕一権田 厚文藤井 佑二櫻井 秀樹勝浦 康光榊原 宣
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1996 年 38 巻 8 号 p. 2000-2007

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抄録

内視鏡的内痔核結紮術(Endoscopic hemorrhoidal ligation:以下EHL)を試みたので,その手技と治療成績を報告する. 対象は出血あるいは脱肛を主訴とし,保存的治療で効果がみられなかった内痔核20例である. EHLの治療回数は1~3回で平均1.6±0.8回(Mean±S.D.)の治療を行った.また輪ゴム("○"リング)の結紮数は2~9個で平均4.1±1.9個の結紮を行った.本法の治療効果は,著効8例40%,有効9例45%,無効3例15%で,有効以上の効果は85%に認められた. 術後観察期間は最短3カ月,最長2年2カ月であるが,EHL後に手術に移行した例はなかった.術後の愁訴は,軽度の疼痛と出血であったが,いずれも保存的に軽快し,入院を要する重篤な合併症は認められなかった. EHLは,外来で可能な効果的な内痔核の治療であると思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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