日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
半筒型透明フードを用いた内視鏡的粘膜切除法の開発
野田 昌夫児玉 正澤井 直樹渥美 正英上平 博司中島 誠棚橋 俊仁加嶋 敬
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 39 巻 10 号 p. 1835-1839

詳細
抄録

胃後壁病変や胃上部病変など切除困難部位に対する治療法として,半筒型透明フード(Partial transparen thood)を用いた内視鏡的粘膜切除術を考案,開発した.基本となるフードは,2チャンネルスコープ(GIF-2 T 200)に脱着できるものを用い,1/3周径および1/4周径のものを作製した.切除方法としては,同フードをスコープの右側に装着,胃内に挿入し,病変の口側を軽く圧迫することにより病変を正面視した後,従来の内視鏡的粘膜切除法によって症変を把持牽引,絞扼切除した.胃後壁病変5例に対して施行した結果,切除粘膜径は,平均で26±9mmと,従来の方法に比して約6mm大きく切除できた.この切除法では,後壁病変を正面視することで,病変の的確な観察と垂直方向に近い病変の把持,牽引が可能であり,比較的大きな病変に対しても一括切除が可能であった.本法は胃後壁病変に対する粘膜切除方法として,極めて有用な手段であると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top