日本消化器内視鏡学会雑誌
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細径超音波内視鏡プローブを用いた十二指腸潰瘍の検討
― 臨床的経過およびHelicobacter pylori除菌療法との関連性について―
東納 重隆青野 茂昭永尾 重昭川口 淳加藤 真吾山口 勉黒木 雅彦目鼻 靖宮原 透丹羽 寛文日野 邦彦
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1997 年 39 巻 6 号 p. 1043-1053

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抄録

 周波数20MHzの細径超音波内視鏡プローブを用いて,十二指腸潰瘍患者103例,231病変に対して超音波内視鏡検査(EUS)を実施し,十二指腸潰瘍の潰瘍構造について検討した.また,Helicobacter pylori(H.P.)除菌治療と治癒過程との関連性についても検討した.通常の内視鏡的病期分類と超音波内視鏡的病期分類の相関は極めて良好であった.十二指腸潰瘍に特徴的な超音波内視鏡像として,第5層の漿膜に相当する高エコー層の外側に連続して局在する高エコー像が観察された.この所見はUl-IV の潰瘍に多く認められ,切除標本の検討からも,潰瘍の炎症の波及による漿膜および漿膜下組織の肥厚を反映したものと推測された.この高エコー像の存在はU1-IV 潰瘍の診断に有用と考え,SR(serosa)と表記した.潰瘍の再発例を検討すると,低エコーの潰瘍エコーの内部に高エコー領域が広汎に存在した.潰瘍の型別の比較においては,単発潰瘍,接吻潰瘍に比較し,線状潰瘍は有意に潰瘍が深い傾向を示した.特に,線状潰瘍のridgeにおいては深部の固有筋層の変形が著明で,潰瘍の易再発性に関与していると推測された.H.P.除菌治療と超音波内視鏡像との関連をみると,除菌群では除菌治療12週後のEO移行率が非除菌群に比し有意に高く,除菌により潰瘍深部の治癒状況も促進されることが明らかとなった.

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