日本消化器内視鏡学会雑誌
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ブリリアントブルー法色素内視鏡検査を用いた胃粘膜萎縮の評価
高崎 元宏
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1997 年 39 巻 9 号 p. 1545-1556

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抄録

1991年から1992年までに,ブリリアントブルー法(BB法)による色素内視鏡検査を施行した連続728症例(男性342例,女性386例)を対象として胃粘膜状態の診断所見について検討を行なった.まずBB法による色素内視鏡検査を施行し,腸上皮化生をI-0,I-1,I-2,I-3,粘膜萎縮をA-0,A-1,A-2,A-3のそれぞれ4段階に分類し,1とAの和であるIA値(IA)を求めた.さらに,木村・竹本の分類に従って腺境界をC-1,C-2,C-3,O-1,O-2,O-3の6段階で分類した.同時に,血清ペプシノゲン(PG)IおよびPGIIを測定し,血清PGI/PGII比を算出した.IAはPGI/II比および腺境界と高い相関を示し,PGI/II比はIAが大きくなるほど低値を示した.PGI/II比は,IA=0群では,年代の上昇にかかわらずほぼ一定値を示し,IA≧1群では,年代の上昇とともに低値を示した.また各年代におけるPGI/II比は,IA=0群に比してIA≧1群が有意に低値を示した.以上の結果,BB法色素内視鏡検査によって得られるIAを用いた胃粘膜の評価法は,萎縮の程度をよく反映し,さらにPGI/II比の測定に基づく “serologic biopsy” の成績とよく一致することが明らかとなった.本法は,スクリーニングとして施行可能であり,低侵襲でかつ有意義な胃粘膜の評価法となりうるものと思われた.

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