日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道粘膜ヨード不染帯の拡大観察による検討
有馬 秀明有馬 美和子神津 照雄菱川 悦男清水 英一郎中島 光一岡崎 靖史小出 義雄磯野 可一
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1997 年 39 巻 9 号 p. 1557-1565

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抄録

食道粘膜ヨード不染帯を拡大観察し,病理組織所見と比較検討した.食道癌切除標本22例中,3cm以下の不染帯55病変をVideo Macro Scopeで拡大観察し,3つのTypeに分類した.TypeAは,わずかに黒変する染色不良部で,白点状の乳頭パターンが明瞭なもの,TypeBは,乳頭パターンは癒合するが輪郭は識別できるもの,TypeCは,無構造または凹凸不整で全く染まらないものである.病理組織所見は,TypeAは11/12病変,TypeBは13/21病変で異型がなく,TypeCは19/22病変が扁平上皮癌であった.拡大内視鏡はGIF200Zを用いて観察したのち生検した結果,TypeAは45/54病変,TypeBは16/25病変で異型がなく,TypeCは21/35病変が扁平上皮癌であった.拡大観察にてヨード不染帯を乳頭パターンに着目して分類することは良悪性の診断に有効であると考えられた.また,スクリーニング検査と拡大観察を同時に行うために,チューリップ・フードを自作した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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