1997 年 39 巻 9 号 p. 1639-1643
ERCPにおいて,従来の造影カニューレで胆管造影が得られなかった症例に対して,胆管造影用に開発したサイドホール型メタルチップカニューレを使用し,その有用性について検討した.本カニューレはオリンパス社製のPR-4Qの先端に直径2mmの球形のメタルチップがはめ込まれている.この球形チップにおける造影剤流出口は先端ではなく,先端との角度が60.の位置に作成した径0.6mmの側孔となっている.従来型のカニューレで胆管造影が得られなかった10例に本カニューレでERCPを施行し,8例に胆管造影が得られた.ERCP.での胆管造影の成功率は,従来のカニューレでは93.0%にとどまっていたが,本カニューレの使用により98.6%に向上した.なお,本カニューレの使用による合併症はみとめられず,安全で有用なカニューレと考えられた.