1997 年 39 巻 9 号 p. 1634-1638
われわれは,従来診断困難であった小腸疾患の簡便な検査方法を考案した.症例は24歳の男性.腹痛のため当科を受診し,イレウスと診断され入院となった.イレウス管からの二度の造影では下部小腸は造影できず,注腸検査では大腸に病変は認めなかった.そこで大腸内視鏡検査時に,内視鏡先端外部に食道静脈瘤硬化療法用カフを装着し,バウヒン弁口側にて拡張することで造影剤の結腸への逆流を防ぎ,逆行性小腸造影を行った.同法により下部回腸の狭窄部位を明らかにし得たので小腸切除術を施行し,組織学的にCrohn病と診断した. 本法は小腸造影を大腸内視鏡検査と同時に施行でき,簡便かつ有益な方法と考えられた.