日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸内視鏡検査を契機に発見された蟯虫症の3例
佐野 亙廣畑 成也安武 晃一岩本 和也藤田 幹夫堀田 和亜田村 孝雄長谷川 博司中島 卓利西崎 朗中江 史朗
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1998 年 40 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

 大腸内視鏡検査を契機に発見された蟯虫症の3例を経験した.症例1は便潜血反応陽性の精査のため大腸内視鏡検査を行った65歳男性で,盲腸から上行結腸に多数の虫体を認めた.症例2は大腸ポリープ切除のため大腸内視鏡検査を行った70歳男性で,盲腸に虫体を1匹認めた.症例3は便秘の精査のため大腸内視鏡検査を行った40歳女性で,横行結腸に虫体を1匹認めた.なお本例は家族内感染が疑われた.確認できた虫体はすべて腸管内残留液と共に吸引捕獲し寄生虫学的検討を行い,蟯虫症と診断した.内視鏡所見ではいずれも腸管粘膜障害は認められなかった.大腸内視鏡検査の普及に伴い,今後本症の観察例が増加すると予想され,内視鏡医は本症の存在を念頭において検査すべきである.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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