抄録
最近は日本でもエイズに関連した消化器病変の報告が,ときどきみられるようになってきた.都立駒込病院では,1989年から1997年までに170件の上部消化管内視鏡検査を,47件の大腸内視鏡検査をHIV感染症患者に施行しており,その経験を基にエイズの内視鏡検査について概述する. エイズに関連した消化器病変は,特徴的な内視鏡所見を呈するものが多かった.食道病変としてはCandida食道炎,Cytomegalovirus(CMV)による食道潰瘍が多くみられた.Candida食道炎は厚い全周性の白苔を認めることが多かった.CMVによる食道潰瘍は,潰瘍周囲に浮腫をほとんどともなわず,潰瘍底には白苔のない打ち抜き様の潰瘍が特徴的であった.胃病変,十二指腸病変,および大腸病変としてはカポシ肉腫が多くみられ,まだらな発赤の粘膜下腫瘤様の隆起が特徴的であった.大腸病変では,CMVによる潰瘍,大腸炎も見られた. エイズ患者の内視鏡検査施行後の消毒は,基本的になB型肝炎に準じてスコープの消毒を施行すればよい.すなわち少なくとも45分以上2%グルタールアルデヒドに浸け置きし,機械洗浄すれば問題はない.