日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵管ドレナージとESWLが奏効した十二指腸狭窄を伴う慢性膵炎の1例
水口 泰宏古川 雅也穀野 真一郎溝上 俊朗二木 修司小野田 一敏堀部 俊哉新戸 禎哲関 知之斉藤 利彦
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1998 年 40 巻 8 号 p. 1203-1209

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抄録
 症例は,54歳男性.右季肋部痛を主訴に当科を受診.血清アミラーゼ値の上昇と,腹部USで膵頭部に膵石と径40mmの嚢胞および尾側膵管の拡張を認めたため入院となった.上部消化管造影検査および腹部CTで,十二指腸第2部の著明な狭窄像がみられた.炎症所見の改善を待って施行したERCPでは,主膵管に径12mmの透亮像と膵頭部に多発嚢胞を認めた.内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)を行った後,体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)を施行し,膵嚢胞の著明な縮小・十二#r,腸狭窄の改善,および自覚症状の消失を認めた.退院後11カ月間にわたり膵嚢胞の再発はなく,自覚症状も認めていない.これまで,十二指腸狭窄を伴う慢性膵炎は,手術療法が選択される場合が多かったが,本症例は手術療法に比べ侵襲の少ないENPDとESWLの保存的治療で軽快し得た.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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