日本消化器内視鏡学会雑誌
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難治性十二指腸潰瘍にて吐血を繰り返した不全型べーチェット病の1例
木村 聖路鈴木 和夫相沢 中金沢 洋田中 正則
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1999 年 41 巻 9 号 p. 2069-2075

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抄録
症例は32歳女性.昭和59年から十二指腸潰瘍を指摘されている.昭和63年に不全型ベーチェット病と診断され,平成6年には回腸末端に数個の類円形小潰瘍が認められた.平成5年4月から平成6年9月までに十二指腸潰瘍(球部下壁の地図状不整潰瘍)からの吐血が計4回あり,入院を繰り返した.いずれもプロトンポンプ阻害剤で止血されたが,8年間にわたる抗潰瘍剤投与にもかかわらず難治性であった.随伴して認められた胃前庭部多発アフタも出没を繰り返した.組織像は胃,十二指腸とも慢性活動性炎症所見のみでHelicobacter pyloriは陰性だった.ステロイド,NSAIDsの服用歴もないことから,べーチェット病の胃・十二指腸病変を呈した稀な症例と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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