日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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大腸serrated adenomaの臨床病理学的検討
田口 夕美子宮岡 正明小田 智子糸井 隆夫斉藤 利彦味岡 洋一
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2000 年 42 巻 3 号 p. 247-257

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抄録
大腸のserrated adenoma(SA)212病変について内視鏡所見,病理組織所見K-ras codon12とp53変異について検討した.頻度は大腸ポリープの0.9%,男女比1:0.3,平均年齢57.3歳で,その特徴的な内視鏡像は発赤調で鱗状ないし花弁状の隆起で,76.8%に認められた.その他,過形成性ポリープ(HP)様の扁平隆起が16%,結節集簇様隆起が5%,若年性ポリープ様隆起が3%であった.担癌率は3.3%で,通常のadenomaと差がなかった.構成組織はSAF一型は29.7%と少なく,HP混在型が42.5%と最も多かった.p53は11%にfocalな陽性像を示したが,PCR-PHFA法による検討ではK-ras codo1/12の点突然変異は9.1%と低率なことより,その進展は,通常のadenoma-carcinoma sequenceと異なることが示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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