日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的硬化療法が胃粘膜内血行動態に及ぼす影響の検討
―新たに開発された2波長赤外線電子内視鏡による評価―
高田 雅博國分 茂博大井田 正人山岡 佐世日高 央西元寺 克禮
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2001 年 43 巻 1 号 p. 3-13

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抄録
2波長赤外線電子内視鏡を用い,内視鏡的硬化療法(EIS)が胃粘膜内血行動態に及ぼす影響を検討した.胃粘膜内血流は画像解析にてICG投与開始前から190秒までのR成分の経時的変化を内視鏡画像より算出し数量化曲線として表した.その結果,健常人とEIS前の曲線には有意差はなかったが,EIS直後はEIS前に比し有意に上昇した.この変化はEISの胃壁枝描出のみと相関し,胃壁枝への硬化剤流入が胃粘膜内血流に鬱滞を及ぼしたためと考えられた.EIS前に比しEIS直後に曲線が上昇する上昇群と,上昇しない非上昇群の2群に分けると,上昇群はEIS直後に有意に上昇した.また,両群のEIS前の曲線を比較すると,非上昇群が有意に高値だった.さらに,上昇群は胃壁枝への硬化剤注入が有意に高率だった.以上より,上昇群は胃壁枝が発達した状態であると推察された。また,EIS12カ月後の観察例より胃粘膜内血流の鬱滞は経過により改善傾向を認めた.
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