新しい消毒薬の一つとして注目される0.55%オルトフタルアルデヒド(OPA)の消毒効果を検査後の上部消化管電子スコープと大腸電子スコープを洗浄を行わずに検討した.上部消化管電子スコープの消毒前の好気性の優勢菌種はStreptococcus,Nisseria,Corynebacterium,Haemophilusであり,その菌数は10
5個/mlであった.消毒後,チャンネル内に残存した菌種は5分消毒群においてBacillus licheniformisのみで,7分,10分消毒には検出されなかった.一方,大腸スコープ消毒前において好気性の優勢菌種はE.coli,Streptococcusであり,その菌数は上部消化管と同様であった.消毒後も残存した菌種はBacillus subtilis, Bacillus megateriumのみであった.消毒前にBacillus subtilisが証明された症例の菌の減少度合いを経時的にみると,消毒後の検出率が5分で5/5(100%),7分で1/1(100%)であったが,10分では2/7(28.6%)に減少した.
OPAは,有機物存在下でも一般細菌を5分で死滅させ,Bacillus属に対しては10分で一部死滅させることができ,更に消毒時間を延長することによりBacillus属に対しても有効であると考えられた.以上,本剤は高レベル消毒薬としての役割を十分果たし得ると考えられた.
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